先延ばしと実行力、ほとんどの人は神頼みしておしまい?
「先延ばしをしてしまう理由」が言及されているかもしれないと期待して読みはじめた「最後までやりきる力」(スティーブ・レビンソン(著)、 クリス・クーパー (著)、発売日2016/3/2)。
結論から言ってしまうと、「なぜ、先延ばししてしまうのか?」については触れられていません。
「最後までやりきることができないのは、あなたのせいではない。すべきだと思っていて、やると決めたのにやらないのは、あなたのせいではない。非難すべきはそういうふうにできてしまっている人間の思考回路だ」
とのことなのですが、その思考回路についての詳述はありませんでした。
巻末に参考文献リストが掲載されているのかも? と思い確認しましたが、それもナシ…。
心理学者のスティーヴ・レヴィンソンと、ビジネス コンサルタント、メンター、コーチであるクリス・クーパーによる共著である本書は、『やろうと思ったことを最後までやり抜くための心構え』を、さまざまな人物の実例を挙げて以下のことを伝えています。
すなわち、
「やるつもりはあるのにやる気が起きないことを実行に移すには、心の底から湧いてくる『やりたくない!』という感情に負けないよう、決意に十分な力を吹き込む必要がある。抵抗感や嫌悪感が強ければそれだけ決意を実行に移すのに必要な力は大きくなる」。
「つまり、物事をやりきる秘訣は、決意の背中を押す力を強めるか、決意を阻む抵抗を弱めるかの、どちらかということだ」。
そして、
「やろうと思ったことを実行に移す可能性を高めるため、あなたはふだん具体的にどんなステップを踏んでいますか?」
という質問を投げかけ、
それに対し、
「答えられなくても気にすることはない。ほとんどの人は、うまくいくよう神頼みしておしまいなのだ」
とおっしゃっています。
「人間が注意を引かれるのは、目の前にあるもの、自然と興味が湧くもの、簡単なもの、すぐに片づけなければならないものなどだ。逆に、そうでないものからは目を背けがちだ。成功のカギとなる可能性のあることであっても、食指が動かなければ無視してしまう」。
よって、
「やるつもりのあることを実行するには、自分から策を講じなければならない」
と、重要なので2回言いますよー的に何度も言及されています。
『やりとげる強い動機をつくる』手法として、早朝に資格試験の勉強をしようと決意した人の実例は、シンプルながら明確に以下のことを再認識させてくれます。
「やりとげる決意をするのにはまっとうな動機が必要だが、実行するにはそれとは別の差し迫った理由が必要なのだ」。
なるほど、確かに。
その手法とは、目覚まし時計を2個使い、1つは自分の部屋に置き6時25分にセット、もう1つは子ども部屋に置き6時30分にセットするというもの。
それまでは試験勉強のために目覚まし時計を6時30分にセットしても起きることさえできなかったジェイムズさん。今後は、朝、自分が起きて子ども部屋に置いた時計のアラームを解除しなければ、まだ寝ていてもよい子どもたちを起こしてしまうことになります。
そして当日の朝、彼は絶対に起きなければと感じてベットから出てアラームを解除しました。そのまま寝に戻るのはきまりが悪かったので、資格試験の勉強に取り掛かることができたとのことです。
「最後までやりきる力」を維持するカギは、「決意の一つひとつについて計画を立てる習慣を身につけること」。
決意にはそれぞれ「やりとげるための計画」が必要で、その計画とは決意に従って行動するために具体的にするべきことであるとのこと。
先述の2つの目覚まし時計の例は、それをせざるをえない状況に自分を追い込む手法で実行に移したということですね。
締め切り間近になって、やっとのことでしぶしぶ作業にとりかかる、なんてことはしょっちゅうありますから、何事にもすぐに行動できたらどれほど楽かと思います。
とはいえ、一つひとつに計画を立てるなんて面倒だナーと思ったものの、考えてみたら何をするにもTODOリストを自作していることに気づきました。今後は優先順位をつけるだけでなく、さらに具体的にプランを突き詰めていきたいところです(笑)。
さてさて、本書において当初の私の期待は「なぜ、先延ばしをしてしまうのか?」、その理由について触れられていないだろうか、ということだったのですが、残念ながらそれはなかったものの、どうあれ先延ばししていることにまずは手をつけ、やり終えるためにすべきことを改めて認識させてもらえた気がします。
この意識を維持しなければ…。
本書の終わりに、
「次に挙げる6つの文のすべてに「イエス」と答えられればもう合格だ、おめでとう!」
と、最後にダメ押し的な問いが投げかけられます。
気になる方はぜひ本書をチェックしてみてください。